企業の人事担当を担っておられる方は、常日頃から求人広告媒体社やその代理店はもちろん、人材派遣や人材紹介などの採用関連サービスを提供する企業の営業担当者と接点を持つ機会は多いのではないでしょうか。そんな中、商材・サービスの一つとして「適性検査」をお勧めされる機会もあるのだろうと思います。この「適性検査」について、今回は触れてみたいと思います。
「適性検査」を導入した方がいいのか、悪いのか。
「適性検査」と呼ばれるサービスは、求人情報大手が提供しているものからそうでないものまで、多様に存在していると思います。「なんだか占いみたいだな」と感じることもあるかと思いますが、「占い」がそもそも統計学に近しい存在だと考えるのであれば、「適性検査」のことを「占いみたい」と感じるのは不思議ではありません。「適性検査」も、要は統計学に近しい存在だったりするからです。
たくさんの設問があり、その回答の選択肢が4つか5つかがあり、どの回答を選択するのか。その回答を選択する人は、どういう傾向にあるのか。この「傾向」を導き出して、どの「傾向」にある人が自社で活躍する可能性が高いのか。そんな判断基準を与えてくれるのが、「適性検査」ということになります。そういう意味では、数多ある「適性検査」サービスの中で、信憑性が高いのではないか、と思われるのは、その「適性検査」をこれまでに受けた人数が多いサービスになるのでしょう。何しろ「母数」が多ければ、そこから導き出される「傾向」は、より信憑性のある「傾向」になる、はず、です。
私がよくお世話になっている求人情報大手にも、そんな「適性検査」のサービスがあります。そのサービスをお勧めに来る営業担当は、たいがい「エントリーしてきた学生の方に受けてもらいましょう」と言うでしょう。さらにはもう少し意識の高い営業担当であれば、「社員の方で活躍されている方々に受けてもらい、御社で活躍される方の傾向を把握しておきましょう」と言うことと思います。じゃあエントリーしてきた学生の方だけに受けてもらうのと、社員の方々に受けてもらった上で学生の方にも受けてもらうのとで、どちらが信憑性が高くなるかというと、当然ながら後者になります。ここで言う「信憑性が高い」と言うのはあくまで、それまではなんとなく、感覚的に「こんな人がうちの会社では活躍している」と考えていたものが定量化される、という点でのこと。絶対的なものではない、ということは前提としておいていただいた方が間違いありません。
「適性検査を、学生と、社員と、両方に受けてもらう」ことで何が実現できるかというと、人事担当者の方の工数が削減できる、ということだろうと思います。エントリー数が多くて大変、という人気企業の人事担当者の方は、その多くが「エントリー者の中から、面接の段階へ進んでもらう学生の方を選抜する」のが一番大変だったりします。そんな選抜の基準として、「適性検査」は定量的でもあるし、明確な基準をもって判断ができるツールになると思います。あとは「適性検査」のサービスにかかる費用と、人事担当者の方の人件費とこれまでの選抜にかかった時間とを計算して比較し、どちらが効率的になるか、をきっちり数値化して、上長の方にプレゼンできれば、きっと「適性検査を導入しよう」ということになるのだろうと思います。
ここで書いた内容をしっかり理解していただければ、「適性検査」のサービスをお勧めしている営業担当のプレゼンにも応用できるのだろうと思います。またそんなプレゼンを受ける人事担当者の方にはぜひ、「適性検査の導入費用と自身の人件費との比較」を先んじて計算しておいていただき、実際のところ会社にとってどっちが得なのか、を把握しておくことをお勧めしたいと思います。そんな営業担当と人事担当者の方とが対峙する商談の場に、ぜひ一度居合わせたいと思いますね。